婦人画報社らしい上品な編集でした。あまり類書では取り上げられないお店が多いのも特徴です。見開き2ページで1つのお店の1つの品を紹介するという贅沢な誌面作りでした。1ページに1つというのもありますが、それでもゆったりとしたレイアウトが本書の特徴であり、持ち味でしょう。第1章「和菓子」の京華堂利保の薯蕷饅頭の青色の美しさにも驚かされます。紅白の薯蕷饅頭しか知りませんので、この斬新なデザインに惹かれました。巻頭を飾る品でした。続く嘯月のきんとんも通常の色合いとは違う美しさが光ります。この繊細な色彩美は京都の魅力を上手く伝えるものでした。掲載品の魅力が写真と文から感じられました。22ページの然花抄院の「室町」花素庭等(カステラ)はお勧めの品です。店内のゆったりとした作りも素敵ですが、掲載品の美味しさも格別です。日持ちがしないので、京都のお店にきて食してください。24ページの中村軒の麦代餅は有名です。京都のデパートでも購入できますが、桂離宮近くの本店の設えを確認してから購入されると一層味わい深いと思います。みなとや幽霊子育飴本舗の「幽霊子育飴」の謂れもまた京都らしさを感じます。有名なお話ですが、六道の辻を訪れた際に一度覗いてみてください。第2章「洋菓子・パン」も京都にはなかなか優れたお店があり、このような掲載はいいですね。菓子・茶房chekaのティラミス、村上開新堂のオレンジゼリーなどのほか、日常使いのお店も紹介してありました。錦市場の三木鶏卵に「黄味あんぱん」という商品があるのを知りました。2009年に登場したそうですが、実に美味しそうです。前田珈琲の「レーズンサンド」は一度購入したい雰囲気を漂わせていました。第3章「食事処のお土産(祇をんちんねんの鱧茶漬け、祇園いづ重のいなりずし ほか)」、第4章「食材・その他(嵯峨豆腐森嘉の白豆腐、いづ萬の祗園あられ ほか)」、第5章「お手軽ランチ(炭火と天ぷら割烹なかじん、東洞 ほか)」という章立てになっています。いずれも取り上げられたお店の個性が誌面から伝わってきます。こだわりの逸品であり、京都の奥深さを知ることになるでしょう。