リターン・オブ・クリスタル・カーマ+ライヴ・イン・サウス・アメリカ (CD)

タイトなロックの前作とは打って変わって、ヘヴィなソウル/ジャズ・ファンク・アルバムです。

パープルや、90年代のハードロック路線、ましてや後のHTP路線とも全く異なる方向性の作品なので、これらの作品のファンには、不人気なのは当然でしょう。

また次の大傑作「ビルディング・マシーン」で聴ける、グレンの万華鏡のような歌ワールドが展開されているわけでないので、グレンの歌が聴きたい大多数のファンには印象の薄い作品だと思います。

他のアルバムと比較すると、グレンの歌がややせっかちで単調、うるさい感じがします。

これは製作やエンジニアリング上のミスフィットのような気がします。

結局共同プロデュース担当のマイケル・スコットの嗜好とグレンの持ち味が合わなかったのではないでしょうか。

私は一時期のヴァン・ヘイレンに近いサウンドを感じました。

もちろんグレン・ヒューズの作品なので、一般のロック・ヴォーカルよりははるかにましですが。

1996年のトニー・アイオミとのセッションで録音された5曲目「ゴーン」が聴きものと言えば聴きものかもしれませんが、これはやはりオリジナルの方が数段いいです。

8曲目「オウド・トウ・J」は4期パープルの楽曲に引っ掛けた、何とフュージョン風のインスト・ナンバーです。

彼の敬愛するジェフ・ベックにリスペクトした曲らしいです。

これ自体は決して悪い楽曲ではありませんが、こうした「遊び」はアルバム全体が散漫になってしまう原因になっています。

ディスク2では、1999年のブラジル、サンパウロでのライブが6曲約45分間収録されています。

おまけ扱いにしては、トラピーズ時代の「コースト・トウ・コースト」、「ユア・ラヴ・イズ・オールライト」、サバス時代の名曲「ノー・ストレンジャー・トウ・ラブ」の貴重なライブが聴けます。

しかし私は、正直やや退屈しました。

特に「ノー・ストレンジャー」に関しては、「HTP ライブ・イン・トーキョー」のバージョン(ギターは梶山章)の方が、グレンの神業のような歌も含めて遥かに良い出来ですね。