シェルブールの雨傘 [Blu-ray] (Blu-ray)

ストーリーはシンプル。愛し合った2人(ギィとジュヌヴィエーヴ)だが、ギィの兵役で2年間引き離され、その間にジュヌヴィエーヴはギィの子供を身ごもりながら心やさしい別の男性(宝石商)と結婚してシェルブールを離れる。戦場から帰ったギィは最初うちひしがれるけれども、自分を見守ってくれていたマドレーヌの存在に気づき、家庭を築き、自分のガソリン・ステーションを起業する。ある日、そのガソリン・ステーションに子供をのせたジュヌヴィエーヴが給油のために訪れるが、互いに家庭のある身。万感の思いがこみ上げたはずだが、簡単な会話を交わすだけでつかの間の再開で終わる。この雪の場面がたまらなくせつない。なぜ女性は男性を待てなかったのか等、物語が単純すぎると思うかもしれない。しかし、当時のアルジェリア問題はフランスにとって過酷な試練だったことを忘れてはいけない。将来に対するたまらない不安を考えると、ジュヌヴィエーヴの行動を責める訳にはいかない。そしてシンプルな物語故に、台詞がすべて歌(俳優と歌手は別)という大胆な試み可能になったと言える。ミュージカルと呼ぶにはダンス・シーンはなし。カメラが流麗に動くオペラ映画だ。つきつめればラストの雪の場面のためにあるような映画だが、冒頭の降る雨の中で行き交う傘のショット等も心に残る。そして衣装や室内の装飾の色彩感覚。このBDは発色状態が良いので十分堪能できる。何といってもカトリーヌ・ドヌーヴの初々しい可憐さが魅力。M.ルグランのテーマ曲だけでなく、ちょっとしたジャズも要注目。DVDの「ジャック・ドゥミの世界」はフランス映画史の一側面の勉強になる。実写版ベルサイユのばらまで出てきます。