日本思想の各時代ごとの研究状況や最新の問題意識を一覧するのに、非常によい本であると思う。
多様な執筆者の起用により、おもしろいことを書く(主に若手の)執筆者を発見できたのは喜ばしかったし、また巻末のブックガイドに加え、本文中に取り上げられる近年の重要な研究書の紹介が魅力的で、色々と読んでみたくなった。
ただし、編者の関心を反映してか、時代としては前近代よりは近世末から近現代に重点がおかれ、また取り上げられる「思想」の性格も、親鸞の人間観や西田幾多郎の哲学がどうこうといったことよりも、何らかのかたちで「国家」や「権力」との関わりが問われる政治思想的な色合いが強い、という「偏向」は否めない。
むろん、まさにそうした方向への傾きこそが、現在の日本思想史研究の全体的なトレンドを反映しているのであって、本書の意図を考慮すれば、その「偏向」は、むしろメリットなのであるが。
多様な執筆者の起用により、おもしろいことを書く(主に若手の)執筆者を発見できたのは喜ばしかったし、また巻末のブックガイドに加え、本文中に取り上げられる近年の重要な研究書の紹介が魅力的で、色々と読んでみたくなった。
ただし、編者の関心を反映してか、時代としては前近代よりは近世末から近現代に重点がおかれ、また取り上げられる「思想」の性格も、親鸞の人間観や西田幾多郎の哲学がどうこうといったことよりも、何らかのかたちで「国家」や「権力」との関わりが問われる政治思想的な色合いが強い、という「偏向」は否めない。
むろん、まさにそうした方向への傾きこそが、現在の日本思想史研究の全体的なトレンドを反映しているのであって、本書の意図を考慮すれば、その「偏向」は、むしろメリットなのであるが。