アルゴリズムが世界を支配する (角川EPUB選書) (Kindle版)

邦訳初出は、2013年10月8日リリース。

電子書籍化は同年10月10日。

著者クリストファー・スタイナー自身、エンジニアであり、『フォーブス』や『シカゴ・トリビューン』でテクニカル・ライターを務めた経歴の持ち主である。

非常によく調査され、中身が非常に濃い一冊である。

そして、様々なヒントに満ち満ちている。

ここ一年読んだ本の中で、最も面白い一冊だった。

未読の方の愉しみのために、多くは触れないが、強く感じたのは、現代において、コンピュータ・サイエンスを習得した人間が最もカネを稼ぎ、世の中を変えていくだろうということだ。

それは、コンピュータ・サイエンスを習得した人間が自身の『会社』でのシゴトに実はまったく縛られていない、ということに気がつけるか、ということでもあるだろう。

本人が興味を持てば、多種多様な分野で驚くような『作品』を生み出すことが、彼らには可能なのだ。

今では、ウォール・ストリートには物理学者が2,000人いるらしい。

しかし、ウォール・ストリートも『彼ら』を縛れない。

2000年代、ウォール街で金融商品の開発されたアルゴリズムに始まり、そこで開発されだ技術が、『様々な分野』で応用され、進化している。

それがすべて動いているのが、『今』なのがよく分かる。

そしてプログラムを少しでも書いたことがある人間にとって、こういったプログラムは、もっとも面白い分野だと感じているだろう。

個人的に最も面白かったのは、ビートルズの『ア・ハード・デイズ・ナイト』のイントロ部分の謎をアルゴリズムで解き明かす部分だった。

これはロック好きの間では長く『謎』とされていた訳で、市販の楽譜の記載は間違いだ、というのが『通説』だったのだが、これをアルゴリズムは、データを取り込み、フーリエ変換し、コードをそれぞれの周波数に逆アセンブルする。

サンプル・データには、29,375個の周波数が出現し、ジョージ・ハリソンがリッケンバッカーで、A2、A3、D3、D4、G3、G4、C4を出していて、ジョン・レノンが六弦ギターでC5のでかい音を出し、ジョージ・マーティンがピアノでD3、F3、D5、G5、E6出していることを突き止める。

そして、テープ速度をコントロールしていることまで聴き分ける。

このような音楽だけでなく、全てはビット化され、演算され、マクロ化される。

なんて面白いのだろうと思ってしまう。

そして、『人間』に代表されるようなアナログなモノをいかに数値化するか、ということも実に面白い。

頭のなかで様々なモノがつながるようなヒントをたくさんもらった感じだ。

続作を期待したい一冊である。