あの日からのマンガ (ビームコミックス) (コミック)

 しりあがり寿氏が2011年の4月から7月のコミック・ビーム誌(5月号から8月号)に掲載された短編4話に小説宝石「川下りふたごのオヤジ」3話、朝日新聞夕刊四コマ「地球防衛軍のヒトビト」、TVBros「はなくそ時評」等、東日本大震災や福島第一原子力発電所事故をテーマにした漫画を出版社の垣根を越えて集めた単行本です。 四コマでは震災の4日後、短篇は震災の約一月後に発表されて居ます。 未だ多くの作家が「この非常時にマンガなんか描いていて良いのか。」と悩んでいる段階から驚く程のスピードと量で本テーマを扱い始めました。 作者が帯で「たとえ『間違っているとしても今描こう』と思いました。」と語っている通り、ファンタジックでユーモラスな衣は着ていても物事の深刻さを蔽いきれないブラックな描写も散見されますが、逆にこの遠慮の無さには強く誠実さを感じます。 特に短篇『海辺の村』は穏やかさを取り戻しつつも決定的に変化してしまった未来の世界を描いて居て、作者の主張に諸手を挙げて賛同は出来ない問題作ですが、傑作である事は間違い無いと思います。 『希望(×)』と『川下り〜』の第2、3話目は毒の有るユーモアが炸裂しており、漸く後半になって被災地から離れて関東で暮らす人々の話を経て、最終話『そらとみず』で犠牲者に対し詩的に祈りを捧げて居ます。  4月には現地ボランティアも経験したしりあがり氏が己の漫画で何処まで今回の災害を表現出来るのかを真剣かつ早急に行った単行本です。 そしてこの様な場合、内容が凡庸だったらレビューに困るのですが、収録作も粒揃いです。 お薦めです。