やっぱり! 株は上がるぞ (アスカビジネス) (単行本(ソフトカバー))

 現在の不安定な世界の経済状況を理解するために,著者の本は非常に参考になる。

著者の解説は,説得力があり,決して独りよがりのものではない。

 私が本書で参考になった点は,次の通りである。

・いずれは日本の個人や家計も成熟経済での生き方に慣れてくる。

そうなると,預貯金オンリーではなくなる。

あり余っているお金は,放っておいてもモノ以外への消費,つまり広い意味でのサービスに向かうようになる。

具体的には,文化・教育・芸術・スポーツ・技術開発・ボランティア活動・NPOなどに,人々はどんどんお金を使うようになる。

それが産業構造のサービスかであり,成熟社会では普通の姿である。

→現在の日本人が貯金ばかりしているのは,お金の使い方を知らないという著者の指摘は,確かにその通りだと感じる。

・こと家電製品や自動車など一般耐久消費財に関しては,生産金額の面でも世界に覇を争うブランド面でも,日本の影は薄くなる一途である。

ところが,世界の耐久財生産や有名メーカーの世界市場制覇を,日本の製造業は裏でしっかり支えているのだ。

日本からの製造機械や基幹部品あるいは工業原材料なくしては,そういった企業群の生産が成り立たないなんて,実に愉快ではないか。

→この指摘は非常に素晴らしいと感じた。

テレビのニュースなどでは,日本の製造業が,韓国勢や他のアジア勢に負けているなどとよく言われているが,実際には日本の貿易黒字は,海外への製造機械や基幹部品の輸出によって堅調である。

これは,まさにテレビのニュースとは,正反対の事実である。

・まともな企業経営者なら,円高に振れようが円安になろうが「やるべきことを,やっておく」に徹するはず。

たとえば円高傾向にあるなら,高くなっている円をフル活用して海外の資源なり企業なりを,申し訳ないような安値で買わせてもらうだけのこと。

せっかくの価格差を生かさない手はない。

→確かに冷静に考えれば,ここまで経済発展してきた日本が,そう簡単に崩れるはずはない。

有能な経営者は,したたかにこの円高を利用して,次への行動計画を立てているに違いない。

日本の経営者の経営能力は,そんなに低くはないはず。

 以上である。

この本を読み終わって,著者がなぜ「株が上がる」と断言しているのかが,非常によく理解できる。

もちろん,それで株を買うか買わないかというのは,個人の判断ではある。

しかし,著者の意見は,テレビでの適当な日本危機説みたいなものよりは,数段説得力がある。

だから,私自身,近いうちに日本株を購入したいという気持ちが,以前よりも非常に強くなった。