幕末・明治を始め、昔の京都の様々な場所の写真を集めて掲載した書籍です。それらの写真と現代の様子と対比させてその変貌ぶりを伺おうという趣旨を持っています。理屈抜きに昔の写真を見ますと驚くことばかりです。エトランゼのような気分になって過去の京都の街を漂っているようでした。国際日本文化研究センター所像の写真が多く使われていました。京都御所や二条城、西本願寺はほとんど変わりませんが、その横に写されている当時の人々の姿やモノを見ると時が100年ほどさかのぼるわけです。明治の頃の鴨川や三条大橋の姿はまだ江戸時代の景観をとどめているものでした。四条大橋も同様で、人力車が時を感じさせます。明治5年の六角堂はバックに池坊のビルがないだけに大きく感じます。表紙になった八坂の塔や清水寺の門前は面影がありますが、五条坂の様子など、現代とは全く違う景観でした。ここはどこの山の中か、といった感じです。この鬱蒼とした竹藪は実に不気味で昼でも歩くのは避けたい雰囲気が伝わってきます。祇園石段下の雰囲気は伝わりますが、2階建てが続く町並みは今とは違いますし、なにより四条通が拡張前ですから、道幅も違ってきます。下鴨神社や糺の森は、古都保存法もあり、当時の雰囲気を今に伝えているのを確認できました。なお、写真には彩色が施されていました。土橋の渡月橋などは現在の姿と大きく違います。違わないのは背景の嵐山の姿でしょう。方広寺のいわく因縁のある釣鐘がそのまま放置され、人々がそれを囲むように並んでいる写真も興味深いものでした。幕末維新研究家・紀行作家の京都市生まれの結喜 しはやさんの丁寧な解説もついていますので、京都を旅する際のガイドブックとして使用されても面白い効果が表れるように思います。本書の内容です。1部 幕末・明治に写された京都名所・旧跡(古都洛中の今昔物語、古都洛東の今昔物語、古都洛北の今昔物語 ほか)2部 古写真でたどる幕末京都の事件帖(新選組残照、坂本龍馬の襲撃、天誅事件の嵐 ほか)3部 懐かしい大正・昭和初期の京都(志士たちの密議処、洛中の遊郭 島原、懐かしい京都の風景)