サンクチュアリ (1) (小学館文庫) (文庫)

池上遼一さんの絵の為だけにお金を出してもいいかもしれませんが、一応内容をば。

ポルポト政権の地獄を生き抜いた少年二人が平和ボケ日本を変革せんとする物語。

意外に分かりやすい高学歴志向ワールドです。

主要キャラの男二人、片方はヤクザの世界に身を投じるが(闇社会から日本を変える!)、実際は東大法学部に行けたくらいの秀才だったと。

盟友の方は表から日本を変えるべく東大法学部から政界へ。

ヤクザの彼女になるヒロインは東大法学部出身のキャリア警察官。

政界ルート男の方の彼女も東大法学部。

わはは。

イメージは「戦国時代」で、闇社会の大同団結やらは「天下統一!」なんですね。

ヒーローの北条は織田信長かなんかで。

豊臣秀吉のパロキャラも登場しますし。

「ポルポト派の地獄から見た日本の現状」ってのは反則だと思うんですが、そこは置いといて、日本変革を語るレトリックは子供以外は読めない中味です。

北条が「教育こそが鍵です」とかとかパネルディスカッションで言うと全員が「おおッ」とどよめく。

なんなんだこれは。

男性向けファンタジーにしても女性キャラの扱いがもう少しどうにかならないのかしら。

つまり「男は全ておいて主体である」というファンタジーなんですよこれは。

だからヒーローの北条は恋愛しても(してんのかしかし?)拒絶の不安なんてこれっぽちもなく、自分都合でコトを運ぶと。

これが一部の男の夢ならば、主体が崩されたら(崩れるもんだろう普通に生きてりゃ)どうするんだ、という訳で、自分が選ぶ側ではなく選ばれる側の客体でもあるのだ、となった時、世界は崩壊するんですね。

日本を変革する前に自己変革した方がいいかもしれない。

しかし一方で、こういうバカマッチョエネルギーというのは「完璧にカッコイイ男」の人生を生きることに成功すれば許容され得るというのも確かである。

でも「完璧にカッコイイ」はプラトン的理想みたいなもんで、不可能なんですね。