悪魔の手毬唄 (角川文庫) (文庫)

昭和32年8月から34年1月にかけて推理小説雑誌『宝石』に連載された、作者最後の傑作とも云われる。

県境の山間にある鬼首村で、古くから村に伝わる手毬唄の通りに次々と村の娘が異様な構図を取らされて殺害されていく。

偶然(偶然にすぎるが・・・)、村に居合わせた金田一耕助は、23年前の未解決殺人との関連を探るうちに、重大な真相にたどりつく。

ホラー要素の散りばめられた横溝作品らしさ満載の本格推理もの。

怪しげな謎の詐欺師、因縁めいた旧家、赤痣の少女、正体不明の老婆、そして曰くありげな手毬唄・・・いかにも横溝ドラマの世界だが、実際に映画やドラマになっている。

この時代の因習や閉鎖的な空気感が物語を覆っていて、陰鬱さを伴う恐怖感が演出されている。

横溝作品を読むのは久しぶりなので、すっかり忘れていたが、金田一は推理を小出しにしない。

そのため最後は畳み掛けるように真実が明らかになるので、持続された緊張感からの落差が大きく感じる。

なお推理には村の地理の知識が必要だが、文章による説明だけだと把握しにくい。

地図を添付したほうがより妙味も増したはずである。

さらに登場人物が多く、関係が複雑を極めているから誰がどうだったか分からなくなる。

人物一覧もつけたほうが整理がつき、理解がスムースになるだろう。