京都ここだけの話 「あんな、実はな…」の巻 (日経プレミアシリーズ) (新書)

ありとあらゆる書き手がこれでもか、という感じで知られざる京都を記しているかのような「京都本」が氾濫しています。

文章のプロといえる日本経済新聞社の京都支社の記者が記した内容ですから、一定の評価はできますが、目新しさに欠けるのは京都本が多すぎて、「知られざる京都」「奥深い京都の魅力」というものが払底しているせいなのでしょうか。

第1章の「ピーマンをよく食べる」の意外な理由は、日本経済新聞社らしく統計からアプローチしていました。

其の1「京都人って、肉好きでビール党?」でピーマンの消費量が日本一とのこと。

シシトウや万願寺とうがらしが含まれるという解説に納得しました。

ビールの消費量が1位の理由に全く触れていないのは解せません。

項目に記すなら解説すべきでしょうから。

其の2「京野菜、宇治茶・・・・京都の食材のブランド力の理由」に関して高付加価値を挙げています。

セリの流通の仕組みにも触れていましたが、もう一つ突っ込んで欲しかったですね。

日経の調査力(これもブランド力でしょうから)に読者は期待してしまいますので。

其の3「舞妓が『キャー!』 京都の広告の大胆さと奥ゆかしさ」ではまず「そうだ 京都、行こう。

」の広告を取り上げています。

京都銀行、オムロン、村田製作所のほか、地元企業のCMにも触れていますが、小ネタが続く感じで、深みがないのはどうしてでしょうか。

其の4「『星の数』なんて気にしない 京料理が見せるプライド」のミシュランガイドに対する京都の料理人の反応は頷けます。

堀場雅夫氏の「京都人にしか分からんおいしいものがあり、格付けになじまない」の言葉は重みがあります。

みやこメッセで12月中旬に開催される「京料理展示大会」の内容に触れているのは本書の価値を高めていました。

読者はこのような話を求めているのです。

第2章「京女は東男と結婚したがらない?」の其の1「中国を超えた? 『自転車の街』の最新事情」も新聞社らしい取り上げ方でした。

自転車撤去への力の入れ方は同感です。

不法駐輪のひどさはそうですが、一方で駐輪場の整備が遅れているのも事実です。

また、観光客が自転車通行禁止の通りを知らない例も見受けられます。

其の2「未婚率が高いのはプライドが原因?」も面白い取り上げ方でした。

京都育ちの女性は京都に住み続けたい人が多いという理由はそうかも知れませんね。

其の3「女子プロ野球だってあるスポーツな街」ではきょうとに展開されるプロスポーツに関する記述ですが、チームの紹介にとどまっているのは惜しいですね。

其の4「スターは不在でも数は豊富 ここはゆるキャラ先進地」もそうですか、といった感じでした。

其の5「京都に家を買えるなら、500万円高くてもいい?」は京都の街中の住宅事情に触れています。

日経らしさがでていました。

東京以外では全国でもっとも高いエリアの1つなんです、という記者さんは不動産業界を以前担当されていたようで詳しい記事は魅力的でした。

町家の家賃にも言及してあり、京都に住まいを求める人には参考になる記述でしょう。

其の6「技術に営業手法・・・・変わる和装業界」での振り袖に広がるインクジェット印刷には驚かされました。

和装業界に存在する名簿問題も日経らしい掘り下げでした。

以下は章立てと項目をご参考までに列記します。

第3章 地元の人も楽しめる観光のコツ其の1 桜の見どころ、混雑避けるなら「点よりも線」其の2 夏の魅力は「五山送り火」だけじゃない其の3 秋は「特別公開」で京都のチラリズムを堪能其の4 赤ちゃんゴリラに手作り八つ橋 子連れで楽しむ京都其の5 「有名」でも経営厳しい? 京都の寺社仏閣の実情は其の6 プロがこっそり教えます 京都の四季を写すコツ第4章 京都の日本一と日本初其の1 路面電車に小学校、合成洗剤「京都生まれ」あれこれ其の2 全国のファンが目指す難関「京都検定」其の3 京都の2012年は何かが違っていた?其の4 進学実績躍進の「堀川の奇跡」京都はなぜ教育熱心か其の5 京都の経済人は、変人で瞬間湯沸かし器?其の6 京都の取材は難しい!?新聞記者の「ここだけの話」